Kabukiを見てきたよ @Pomona College
こんにちは~リコです。
実は明日、中間レポートの締め切りが1つあり💀(しかも近日中にもう1個ある👿)かなり追い込まれていますが、(勉強したくないので)みなさんにPitzerのことをお届けするべく、書いていこうと思います。
さて、今回は今年の4月に、隣のPomona Collegeで生徒によって上演されていた歌舞伎を観に行ったことについて書こうと思います。
アメリカの大学で歌舞伎?と不思議に思う人が大半だと思います。面白いことに、Claremont colleges Consortium(Pitzer含め提携している5大学のこと、以下5C) には"Kabuki Club"があり、日本人の講師を招いて教えを請いつつ、生徒自身で衣装もメイクも用意し、毎年4月にミニ歌舞伎を上演しているのです。
わたしは最初それほど興味がなかったのですが、「東アジアの音楽」の授業を取っている友達は課題として観なければいけなかったらしく、彼女に連れられて一緒に観に行きました。
結論から言うと、音楽は素晴らしかったですし、アメリカで上演される歌舞伎ということでとても興味深かったです!
〈演目〉
演目は「御贔屓勧進帳」でした。タイトルだけ聞いても日本人でもさっぱりですが、「義経が頼朝の追手から落ち延びていく中で関所で止められ、弁慶が義経を打ち据えて難所を切り抜けるシーン」といえば少しは思い当たる人もいるのではないでしょうか。
原作では全体的に悲しいシーンが多いですが、日本の歴史になじみのないアメリカ人の観客でも楽しめるようにストーリーもアレンジがされていたり工夫がされていて、(良し悪しは別として)興味深く見ることができました。
本当は写真や動画を載せたかったのですが、残念ながら撮影NGだったのでパンフレットから雰囲気を感じ取ってください、、、。
〈音楽〉
最も楽しめたことの一つに音楽が挙げられると思います!なんとプロの方が来てくださっていて(しかも着物で)、生の三味線・お琴・笛の演奏を楽しむことができました。日本にいても和楽器の演奏を、生で、しかも入場料も無しで聞けることなんてなかなかできないですよね!演目中ずっと、迫力のある華やかな演奏を聞けて最高でした。
〈衣装・メイク〉
「おお、歌舞伎だ!とわかるくらい衣装やメイクはとってもしっかりしていて華やかで嬉しく思いました。特にメインキャラクターたちの衣装はどこで手に入れてきたんだろうと不思議になるくらい、日本で見るものと遜色ないくらいでした。隈取も鮮やかで艶やかで、見ていて楽しかったです。しっかり日本の歌舞伎をなぞっているなという感じがしました。
〈ストーリー〉
大枠は原作に忠実だったと思います。最後のオチがもっと明るいものになっていたり、弁慶が役人たちと戦うシーンでのスタントがやたら長かったり、かなり原作と違う部分に抵抗もありましたが、工夫の範囲内なのかなと思うと同時に、歌舞伎という文化や歴史のコンテクストにかなり依拠している芸術の難しさを感じました。
正直に言うと、ストーリーのかなりの改変には抵抗がないわけではありませんでした。このシーンは主君を守るために義経を罵倒したり殴ったりしなければならない弁慶の悲劇と忠誠心が際立つ悲しいシーンだから意味があると思うのです(自論です)。
けど、日本の基本的な歴史や文化にほぼ全く馴染みがないアメリカ人観客が歌舞伎を素直に楽しむのはとても難しいのも事実です。
彼らは弁慶が誰だかも義経が何をしたのかも知らないし、馴染みのない人名や地名がいくつか出てきた時点で楽しむことからは程遠くなってしまいそうです。(ロシア古典を読んだことのある人は、なんちゃらエフスキーとかなんとかノフとかがたくさん出てくるのと似た感じだと思ってもらえたら感覚が掴めると思います) 実際一緒に行った友達も、何が起こっていたかはあんまり理解してないけど面白かった~と言っていました。
このシーンを理解するには、人物設定や義経が終われている理由、関所の役割など踏まえておかなければならない歴史的・文化的コンテクストが多すぎて、ただ単に全てを英語に訳しただけではストーリーの1/5も伝わるか怪しいんじゃないでしょうか。
だから、それら全てがわからなくても楽しんでもらえるために、笑える要素やスタントを多く取り入れるという工夫が必要になるのだろうと思います。
その結果、「日本の歌舞伎の再現」というよりかは「アメリカのコンテクストに合わせて再構成されたKabuki」であるというほうが正確だと思いました。
最近は日本の歌舞伎でも外国人観光客に楽しんでもらおうと音声ガイドを取り入れているところもあるらしいですが、それでもやっぱりある程度知識のある日本人と全く文化を知らない観光客では超えなければいけないハードルが全く違うんだろうなあと考えさせられました。
〈その他〉
あと…これはどう考えても納得がいかないのでどうしてそうなったのか本当に誰か教えてほしいんですけど、なぜか義経が、女性として描かれてたんですよね。
演者が女性だったから反対してるわけではないのです。確かに日本の歌舞伎は男性のみが演者になるというルールを厳しく守って演じられていますが、伝統は伝統として排他的であると思うから、女性が演者として舞台に上がるのは大賛成です。義経役の子以外にもたくさんの女性の演者さんが参加していました。
わたしが納得がいかないのはその点ではなく、義経が、女性ものの着物を着ている女性として演じられていたことです。義経が歴史上に好きな人物のトップ5を争うくらい義経が好きだった身としては、納得がいかずひたすら「???」が浮かぶばかりです。
わたしが知らないだけで、実は「義経は女性だった説」とか「トランスだった説」が当たり前だったりするのかしら。わからないけれども。
そんな感じで、自分の慣れ親しんだ歌舞伎との差に戸惑いを覚えつつも、特に音楽や衣装・メイクなどは原作にとても忠実で原作へのリスペクトが多分に感じられました。
一方で、文化や歴史がわからなくても楽しめるよう工夫を取り入れたところはある意味もとの歌舞伎から離れて変化した「アメリカン歌舞伎」ともいえるようで、とても興味深かったです。
次はプロダクション側に関わってみるのも面白いかも。もしそんなことがあれば、また報告したいと思います!
それでは今回はここまでにします。読んでくださってありがとうございました!コメントや感想などもらえると喜びます!
中間、頑張るぞ~…(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)